• CATBIRD日記 (物理・数学・歴史・哲学・宗教の未解決問題を扱ってます)
  • 不確定性原理の意味と求め方

    T.物質波

     不確定性原理は「Δx・Δv>h/2πm (x=粒子の位置・v=粒子の速度・h=プランク定数・m=粒子の速度)」と表されます。

     粒子は振動しながら移動します。ですから、その軌跡は波形となります。これを「物質波」と言い、ド・ブロイはその波長を「λ=h/mv」と表現しました。

     「不確定性原理」を言葉で表すと@「粒子の位置xを正確に記述しようとすると粒子の速度vが合わなくなり、逆に粒子の速度vを正確に記述しようとすると今度は粒子の位置xが合わなくなる」となります。

    U.粒子の位置とは

     粒子の速度vは分かりますが、粒子の位置xとは何でしょうか。
     時間と共に変化する粒子の位置をつなぐと「波形」となります。つまり、粒子の位置とは粒子が動いた軌跡であり、物質波の波長λと高さ(振幅A)のことです。
     ですから、位置xを正確に記述するとは、物質波の波長λと振幅Aを正確に記述することです。

     しかし、物質波の波長λと速度vには、ド・ブロイ波長「λ=h/mv」の制約があります。これは物質波の振動を周波数fで表現した式です。物質波を各周波数ω(=2πf)で表現すると、ド・ブロイ波長は「λ=h/2πmv」となります。ですから
    波長λ×速度v= (h/2πmv)×v=h/2πm
    です。

    V.波長と速度の関係

     つまり、質量mの物質波の波長λと速度vを掛けると、一定値の「h/2πm」となります。このように、波長λと速度vが反比例するので、様々な波長速度の物質波を記述する時、波長を合わせようとすると速度が合わなくなり、逆に速度を合わそうとすると今度は波長が合わなくなります。「不確定性原理」の数式「Δx・Δv>h/2πm」はこの理を表しています。

     一方、波の高さ=振幅Aに制約はありません。ですから、振幅Aは正確に記述できます。

     このように、量子力学の波動関数で物質を完全には記述できません。このため、波動関数で物質の未来を完全には計算できません。つまり、何%こうなると確率でしか計算できません。

    W.シュレディンガーの猫

     例えばラジウムを波動関数で表し、t秒後にα崩壊が起こるか否かを計算します。すると、ラジウムのα崩壊が起こる確率は50%、起こらない確率は50%となったと仮定します。
     α崩壊が起こるとガイガーカウンターでその情報をキャッチし、青酸ガスが発生する装置を箱に入れます。同時に、猫も入れます(猫さんごめんなさい)。
     すると量子力学では、箱の中の猫は50%死んでおり50%生きていることになります。

     しかし、猫は生きているか死んでいるかしかありません。このように、量子力学の確率的手法では矛盾が生じます。こう批判したのが「シュレディンガーの猫」です。

    X.神はサイコロを振らない

     同様にアインシュタイン博士も、物理の方程式は現象を完全に記述するものでなければならないと考えられました。Aサイコロを振って出る目は、投げた瞬間既に決まっています。その瞬間の条件が全て把握され、それを完全な方程式に当てはめれば、出る目を100%計算できます。
     波動方程式が不十分なため、1が出る確率は1/6としか計算されないのです。ですから、アインシュタイン博士は完全な方程式を探求すべきとし「神はサイコロをふらない(=出る目は投げた瞬間既に決まっている)」と発言されました。

     量子力学でも、原因が結果を生みその結果が原因となり次の結果を生むと考えます。つまり、原因なくして結果は生じません。決して、量子力学では物質の未来が不確定(原因なくして結果が生まれる)と考えていた訳ではありません。