• CATBIRD日記 (物理・数学・歴史・哲学・宗教の未解決問題を扱ってます)
  • 物体は自ら加速する

    運動の三法則

     物質の運動の基本法則には、第一法則・第二法則・第三法則があります。これらの法則は、一見お互いに矛盾し合っている様に思えます。

     運動の第一法則は、慣性の法則とも呼ばれています。外から力が加わらない限り、静止している物体はいつまでも静止しており、等速運動する物体はいつまでもその速度で移動し続けます。

     運動の第二法則は、加速度の大きさは、物体に加えた力の大きさに比例し、物体の質量に反比例すると言うものです。物体に加える力の大きさが2倍になると、その物体は2倍の速度で動き、物体の質量が2倍になるとその物体は1/2の速度で動きます。

     運動の第三法則は、運動する物体の持つ運動エネルギーは、質量に比例し、速度の2乗に比例すると言うものです。物体の質量が2倍になると、この物体が衝突した時生じるエネルギーは2倍となり、速度が2倍となると衝突エネルギーは4倍となります。

    第一・第二・第三法則間の矛盾

     この運動に関する3法則は、お互いに矛盾していると思えます。運動エネルギーの足し算が成り立っていないのです。

     第二法則によると、n倍の運動エネルギーを加えると、物体の速度はn倍となります。第三法則によると、速度がn倍になると運動エネルギーはn2倍となります。つまり、物体にはn倍のエネルギーしか与えていないのに、移動する物体はn2倍の運動エネルギーを持っているのです。つまり、この物体は自分で加速しています。

     次に、等速運動です。物体に1回vの力を加えると、その物体はv[m/s]で移動し続けます。物体をv[m]移動させるのにもエネルギーを必要とします。vの運動エネルギーを1回与えると、物体はv[m]移動するのであれば分ります。しかし、vの運動エネルギーを物体に1回与えると、その物体はv[m]移動し、移動終了時点でまたvの運動エネルギーを獲得しています。ですから、その物体はまたv[m]移動します。このvの運動エネルギーの増殖を繰り返すことで、物体は等速運動を続けます。やはり、この物体は自分で加速しています。

    物体の運動のイメージ

     物体の運動を、簡単なイメージで表現して見ます。物質は、本来あらゆる方向へ光速で飛び去ろうとします。それを、万有引力でお互いに光速で引き合うことにより、一ヶ所に固まりとして静止しています。
     例えるなら、様々な方向へ飛び去ろうとするロケットを、ロープで結び合っている状態です。ロケットは、あらゆる方向へ光速で飛び出そうとします。それを万有引力と言うロープにより光速で引き寄せる為、ロケットは一ヶ所にまとまって静止しています。

     静止時には、あらゆる方向にロケットが向かおうとするので、その力が釣り合い静止しています。v[m/s]で移動する場合は、v2/c2の割合のロケットが進行方向へ光速で向かおうとします。残りの1-v2/c2の割合のロケットは、あらゆる方向へ向かおうとしお互いに釣り合って静止しています。静止しているロケットを、一部のロケットが光速で引っ張る形になります。

     一部のロケットが、静止しているロケットを光速で引っ張り続けると、次第に加速して行きます。この様に、物体は僅かでも移動を始めると、次第に加速して行きます。しかし、静止している物質を引っ張るとエネルギーを使い減速します。外から力が加わらないと、この加速と減速とが釣り合い、等速運動を続けます。外から力が加わると、上記の通り次第に加速して行きます。自分で加速するので、運動量保存の法則が成立しないのです。