TopPage思考の迷宮 「kothimaro Aruki」の研究室へ戻る

ブラックホールとは何か

T.ブラックホールの生成

 恒星は自己重力が強いのですが、核融合反応による爆発力により、双方の力が釣り合い一定の大きさを保っています。

 しかし、核融合反応が終わると自己重力のみとなります。質量が太陽の約30倍以上ある星の場合、自己重力により核が収縮(重力崩壊)を続けます。つまり、自分自身の中に落下し続けます。この様にして、非常に小さいけれども巨大質量を持つブラックホールが出来上がります。

 太陽の質量は、(1.9891×1030)sですから、太陽の30倍の恒星の質量は(5.9673×1031)sです。この様に、ブラックホールは無限大の質量を持つ訳ではありません。

 では、どこまで重力崩壊を続けるのでしょうか。太陽の30倍の質量が全てブラックホールになった場合を想定して、そのブラックホールの大きさと密度を求めて見ます。

U.超ひも理論

 超ひも理論では、物質を構成する基本粒子は、1本の超ひもの振動として表現されます。
 1本の超ひもの長さはプランク長lp(1.616229×10-35)mです。その上を振動が光速c(2.99792458×108)m/sで伝わります。1本の超ひもの端から端まで振動が伝わる速さがプランク時間tp(5.39116×10-44)sです。従って、
@c=lp/tp=(1.616229×10-35)m÷(5.39116×10-44)s=(2.99792458×108)m/s
です。

 また、1本の超ひもの振動数が多くなるほど質量が増えエネルギーが増します。そして、最短時間であるプランク時間に1回振動する超ひもが最も重く最もエネルギーが多くなります。この時の振動回数は、(1/tp)回/秒です。
 そして、
1本の超ひものエネルギー=換算プランク定数hバー(1.054364×10-34)Js×1秒間の振動数
です。従って、
最大振動数の1本の超ひものエネルギーE=hバー/tp=(1.956150×109)J
です。これをプランクエネルギーEpと言います。「E=mc2」なので、
最も重い1つの粒子の質量=プランクエネルギーEp÷c2=( 2.17647×10-8) Kg
です。これをプランク質量mpと言います。

 最も重い粒子が接し合い、ぎゅうぎゅう詰めになった状態が最も高い密度です。1辺がプランク距離の立方体(プランク体積)の中にプランク質量mpがあるので、
最も高い密度=プランク質量mp÷プランク体積=( 2.17647×10-8) Kg÷(1.616229×10-35m)3=(5.157468×1096)s/m3
です。これをプランク密度と言います。

V.ブラックホールの質量と体積

 太陽の30倍の質量の物質も、プランク密度まで小さくなります。ですから
ブラックホールの体積=太陽の30倍の質量÷プランク密度=(5.9673×1031)s÷(5.157468×1096)s/m3=(3.856737×10-67)立米
です。この体積の球体の半径rを求めて見ましょう。球の体積V=(4/3)πr3なので、
ブラックホールの半径r=[3]√{V×(3/4)π}= r=[3]√{(3.856737×10-67)立米×(3/4)π}=(4.515548×10-23)m
です。

 この様に太陽の30倍の質量を持つ恒星がブラックホールになった場合、その重さは(5.9673×1031)sで、その大きさは半径(4.515548×10-23)mの球体です。

 そして、ブラックホールの周辺では、その強力な重力によりあらゆるものが外に出られなくなります。光でさえも例外ではありません。

W.光も抜け出せない範囲

 では、光も抜け出せない程強力な重力加速度は幾らでしょうか。それを求めるには、先ずこの世の最大加速度を知らなければなりません。
 この世で最大の加速度は、最短時間のプランク時間tpに最速の光速cに達するものです。それは
最大加速度=光速c(2.997925×108)m/s÷プランク時間tp=c/tp=(5.39106×10-44)秒=(5.562012×1051)m/s2
です。これを「kothimaro加速度(ak)」と呼びます。これは光の加速度です。光はプランク時間tpで光速cに到達し、その後は速度の上限の光速cで伝わり続けます。

 光はこの最大加速度で進もうとします。この加速度のものを前に進まない様にするには、同じ大きさの重力加速度を加えて落下させる必要があります。
重力加速度g(m/s2)=GM/r2 {G(重力定数)=(6.67384×10-11)m3s-1s-2・M=質量(s)・r=物質からの距離m}です。
 つまり、重力による加速度gは、物質の質量Msに比例し、物質からの距離rの2乗に反比例します。「kothimaro加速度(ak)」になる距離rは次の様にして求めます。
 「kothimaro加速度(ak)」c/tp=GM/r2 、r2=GMtp/c、r=√(GMtp/c)メートルです。この半径を「kothimaro半径(rk)」と呼びます。

X.kothimaro半径

 太陽の30倍の質量の恒星がブラックホールになった場合のkothimaro半径を求めて見ましょう。
Kothimaro半径=√(GMtp/c) =(8.461914×10-16)m
です。光でさえも「kothimaro半径」の円の表面では、自身の推進力である最大加速度(ak)と同じ加速度で落下するため、何ものも「kothimaro半径」から脱出することが出来ないのです。

 「シュワルツシルト半径」=2GM/c2=(8.862530×104)mです。この半径では、まだ光は脱出出来ます。

Y.一般相対性理論での理解

 確かに、一般相対性理論では
重力加速度g = GM/r2 × 1/√{1 - 2GM/(c2 r)}
です。
 重力により空間と時間の座標が変化します。加速度a=2×移動距離L÷移動時間s2です。そして、強い重力により定規が収縮し時計はゆっくりと進むので、移動距離Lは長く移動時間sは短く測定されます。この様に、重力が強い程より短い時間でより長い距離を移動したと測定されるため、重力加速度が大きく観測されます。

 その相対論的効果を@1/√{1 - 2GM/(c2 r)}で表現しています。質量に近づきrが小さくなる程、重力は強くなり@の値は大きくなって行きます。つまり、重力が強くなる程、重力加速度は大きく算出されます。

 ですから、@1/√{1 - 2GM/(c2 r)}のrは、観測者Aの質量からの距離を意味しています。観測者が質量に近づけば近づく程、観測者の時間と空間の座標が変化し、重力加速度も大きく観測されます。

 従って、観測者Aがブラックホールに落下する物体Bと同じ位置に居る場合、「重力加速度g = GM/r2 × 1/√{1 - 2GM/(c2 r)}」で計算しますが、観測者Aが地上に居て遥か遠方のブラックホールに落下する物体Bに掛る重力加速度を求める際には、r≒∞としてニュートン力学の「重力加速度g = GM/r2」を使うべきでしょう。

Z.ブラックホールの重力勾配

 重力勾配とは、鉛直方向に並んだa地点とb地点との重力加速度(p/s2)の差をその間の距離(p)で割って計算します。その値が大きい程重力勾配が大きいのです。

 単位は、Eotvos(エトヴェシュ)です。1E(エトヴェシュ)=10-9Gal/pです。つまり、1Eは1pで10-9Galの重力加速度の差です。1Gal=1p/s2です。つまり、1Gal は1秒で1p/sづつ加速する加速度です。ですから、1E=(10-9)×(1p/s2)/p=10-9/s2です。

 ブラックホールは、巨大な質量が小さい空間に存在するので、重力勾配が大きくなります。
 太陽の約30倍以上の質量(5.9673×1031s以上)がある星の場合、自己重力により核が重力崩壊を続けます。つまり、自分自身の中に落下し続けます。この様にして、非常に小さいけれども巨大質量を持つブラックホールが出来上がります。
 では、このブラックホールの1mと1.01m地点の重力加速度の差より重力勾配を求めて見ましょう。
1m地点の重力加速度=GM/r2={(6.67408×10-11)m3Kg-1t-2}×(5.9673×1031)s/1=(3.982623×1021)m/s2
1.01m地点の重力加速度=GM/r2={(6.67408×10-11)m3Kg-1t-2}×(5.9673×1031)s/1.0201=(3.904150×1021)m/s2
重力勾配={(3.982623×1021)m/s2-(3.904150×1021)m/s2}/p=(7.847342×1021)/s2=(7.847342×1021)Gal=(7.847342×1030)E(エトヴェシュ)
です。
 ちなみに、世界最大の地震による加速度は4022Galなので、このブラックホールの1m地点では、その(1.951104×1018)倍もあることが分かります。

 一方、太陽の30倍未満の質量の星では、自己重力による重力崩壊が起こらないので小さくはなりません。この場合、星の半径rが大変大きいので、重力加速度=GM/r2の値は小さくなり、ブラックホールの様な大きな重力勾配にはなりません。

[.ブラックホールの定義

 先ずブラックホールの定義を知らなければなりません。物質が重力崩壊を起こし、シュバルツシルト面より小さく収縮したものがブラックホールです。

1gの物質のシュバルツシルト半径=2GM/c2=(1.485182×10-30)m
です。1gの鉄球の半径がこの半径よりも小さくなければ、ブラックホールとは言えません。
 鉄球の密度は7.8749g/立法pなので、
1gの鉄球の体積=1立法p÷7.8749g=(1.269857×10-1)立法p
鉄球の体積V=(4/3)πr3、一方、半径r=[3]√{V×(3/4π)}です。従って、
1gの鉄球の半径=[3]√{(1.269857×10-1)立法p×(3/4π)}= (3.118091×10-3)m
です。

 つまり、1gの物質の半径は重力崩壊を起こさないので約3mmですが、1gの物質のシュバルツシルト半径は(1.485182×10-30)mと非常に小さいのです。これでは、「物質の半径>物質のシュバルツシルト半径」なので、1gの鉄球はブラックホールとは言いません。

\.ブラックホールの合体時の重力波によるエネルギー損失

 ブラックホール同士がその重力により近づくと、それは連星系を形成します。つまり、2つのブラックホールが両者の重心の周りを軌道運動します。そして、両者が近づくに従い軌道半径が小さくなるため、「角運動保存の法則」により、回転速度はどんどん速くなります。
 ブラックホールは、巨大質量なのに非常に小さいので、軌道半径はとても小さくなり、そのため回転速度は光速に近くなります。
 この時、重力波が発生します。重力波は、双方の質量が大きく速度が光速に近い程強く生じます。ですから、ブラックホール同士が衝突するまでに、大量のエネルギーが重力波として放出されます。

 長期間に渡るある連星系の観測より、連星は重力波によるエネルギー損失により軌道が減衰しており、これは一般相対性理論が予測する重力波のために起こるエネルギーの損失と正確に一致することが判明しました。

 ただし、2つのブラックホールの質量のどれだけが、重力波によりエネルギーとして放出されるか、ここで計算は出来そうにありません。

].ブラックホールは物質を吸い込むのではない

 質量を持つ物質は、重力により落下します。ですから、物体はブラックホールに落下します。

 この様に、太陽の周りを公転する地球は、自由落下しているのです。
 もし、太陽の重力により、地球が吸い込まれているとするなら、地球が太陽の周りを楕円軌道を描きながら公転し続けるには、地球に遠心力が掛る必要があります。

 これで、地球は吸い込まれる力と遠心力が釣り合う一定軌道を公転することになります。

 しかし、実際には地球に遠心力は働いていません。ただ、落下し続けているだけです。太陽は丸いので、落下してもそこに太陽の表面がないのでぶつかりません。それだけなのです。

Y.ミニブラックホール

 ビッグバンから1プランク時間経過した宇宙は、プランク密度の状態でした。それは、一つの巨大なブラックホールと言っても良いでしょう。
 それが、ビッグバンの爆発力により四方八方にバラバラに飛び散りました。その際、巨大な一つのブラックホールがバラバラになったので、一瞬「ミニブラックホール」が生じた可能性はあります。
 しかし、これでは自己重力が小さいので、直ぐに大きくなりブラックホールでなくなります。

 また、加速器で加速した粒子同士を衝突させれば、重力の代わりに運動エネルギーにより物質は収縮し、一瞬プランク密度となりブラックホールとなる可能性があります。

 しかし、この様に上手く衝突する可能性は極めて低く、直ぐに元の大きさに戻ります。

 ブラックホールとして存在するには、強い自己重力が必要であり、そのためには5.9673×1031s以上の質量が必要となります。

Z.cさんのご主張とその誤り

 cさんは、以下のとおりご主張です。
 『a = GM/r2、 r =シュバルツシルト半径 2GM/c2 、∴a = c4/4GMとなります。重力加速度aはMに反比例するので、シュバルツシルト半径上で考えれば、質量Mの小さいブラックホールの方が大きいブラックホールより、重力加速度は大きい。』

 では、質量M=1036sがブラックホールとなると、シュバルツシルト半径上の重力加速度は幾らになるでしょうか。
重力加速度a= c4/4GM={(2.99792458×108)m/s}4÷{4×(6.67384×10-11)m3s-1s-2×1036s}=30,257q/秒2
です。この程度の重力加速度ではとても光の脱出を防ぐことは出来ません。光の速度は299,792q/sなのですから。

 では、光も抜け出せない程強力な重力加速度は幾らでしょうか。それを求めるには、先ずこの世の最大加速度を知らなければなりません。
 この宇宙の距離の最小単位をプランク距離lp=(1.616199×10-35)mと言います。この世の最速の光速c=(2.997925×108)m/sでlp進むのに要する時間をプランク時間tp=(5.39106×10-44)秒と言います。これで
プランク距離lp(1.616199×10-35)m÷プランク時間tp(5.39106×10-44)秒=光速c(2.997925×108)m/s
となります。

 ですから、この世で最大の加速度は、最短時間のプランク時間tpに最速の光速cに達するものです。それは
最大加速度=光速c(2.997925×108)m/s÷プランク時間tp=c/tp=(5.39106×10-44)秒=(5.562012×1051)m/s2
です。これを「kothimaro加速度(ak)」と呼びます。これは光の加速度です。光はプランク時間tpで光速cに到達し、その後は速度の上限の光速cで伝わり続けます。

 光はこの最大加速度で進もうとします。この加速度のものを前に進まない様にするには、同じ大きさの重力加速度を加えて落下させる必要があります。
重力加速度g(m/s2)=GM/r2 {G(重力定数)=(6.67384×10-11)m3s-1s-2・M=質量(s)・r=物質からの距離m}です。

 つまり、重力による加速度gは、物質の質量Msに比例し、物質からの距離rの2乗に反比例します。「kothimaro加速度(ak)」になる距離rは次の様にして求めます。
 「kothimaro加速度(ak)」c/tp=GM/r2 、r2=GMtp/c、r=√(GMtp/c)メートルです。この半径を「kothimaro半径(rk)」と呼びます。
 光でさえも「kothimaro半径」の円の表面では、自身の推進力である最大加速度(ak)と同じ加速度で落下するため、何ものも「kothimaro半径」から脱出することが出来ないのです。

重力加速度a = GM/r2にkothimaro半径r=√(GMtp/c)を代入すると
重力加速度a= GM÷(GMtp/c)=c/tp= kothimaro加速度(ak)
です。
 kothimaro半径上では、全てのブラックホールで、重力加速度は最大であるkothimaro加速度(ak)= c/tpとなります。光の加速度もakなので、これで全てのブラックホールにおいて、kothimaro半径上では光は前に進めなくなります。つまり、何ものも「kothimaro半径」内から脱出することは出来ません。

 これに対して、cさんは
『一般相対性理論で考えた場合、中心からの距離r における重力加速度は、g = GM/r2 × 1/√{1 - 2GM/(c2 r)}となる。r を+∞ に近づけると、後半の項は1 に収束するので、ニュートン力学と同じ形になる。一方、r をシュバルツシルト半径に近づけると「r → 2GM/c2」後半の項は+∞ に発散するので、重力加速度は無限大になる。これが、シュバルツシルト半径上からは何ものも抜け出せない理由になる。』
と反論されました。

 cさんの仰るとおり、一般相対性理論では
重力加速度g = GM/r2 × 1/√{1 - 2GM/(c2 r)}
です。
 重力により空間と時間の座標が変化します。加速度a=2×移動距離L÷移動時間s2です。そして、強い重力により定規が収縮し時計はゆっくりと進むので、移動距離Lは長く移動時間sは短く測定されます。この様に、重力が強い程より短い時間でより長い距離を移動したと測定されるため、重力加速度が大きく観測されます。

 その相対論的効果を@1/√{1 - 2GM/(c2 r)}で表現しています。質量に近づきrが小さくなる程、重力は強くなり@の値は大きくなって行きます。つまり、重力が強くなる程、重力加速度は大きく算出されます。

 ですから、@1/√{1 - 2GM/(c2 r)}のrは、観測者Aの質量からの距離を意味しています。観測者が質量に近づけば近づく程、観測者の時間と空間の座標が変化し、重力加速度も大きく観測されます。

 従って、観測者Aがブラックホールに落下する物体Bと同じ位置に居る場合、「重力加速度g = GM/r2 × 1/√{1 - 2GM/(c2 r)}」で計算しますが、観測者Aが地上に居て遥か遠方のブラックホールに落下する物体Bに掛る重力加速度を求める際には、r≒∞としてニュートン力学の「重力加速度g = GM/r2」を使うべきでしょう。