• CATBIRD日記 (物理・数学・歴史・哲学・宗教の未解決問題を扱ってます)
  • 何故、ブーメランは戻ってくるのか

    ブーメラン

     子供の頃、厚紙でブーメランを作って投げて遊んだことがある。余り上手には出来ず、戻っては来なかった。テレビで見るブーメランは、弧を描いて見事に手元に戻っていた。しかし、その当時、何故戻るのかはよく分らなかった。

    揚力

    空気の流れと揚力

     V字型のブーメランは、回転すると、円盤状となる。従って、ここでは円盤の回転として説明する。

     ブーメランの断面は飛行機の翼の様に、揚力が生じる形となっている。回転すると、下側の空気圧が上側よりも高くなり、ブーメランを押し上げる力が生じる。この揚力によりブーメランは、遠くまで飛ぶことが出来る。詳しくは、飛行機は何故飛べるのかを参照下さい。

    回転する物体の回転軸の首振運動

    ブーメランの傾き

     左図は、右手でブーメランを投げた時の様子を描いたものである。青の円盤が投げた時の状態である。軸は左に傾いている。ブーメランは回転することにより揚力が生じ、どんどん上がっていく。回転軸はCATBIRDの首振理論により、ブーメランの回転方向へゆっくりと首を振る。詳しくは、何故、回転する独楽(こま)は倒れないのかを参照下さい。

     簡単に説明すると、投げた時はOが下がっている。円盤はQ→Oには下がる運動となり、O→Qには上がる運動となる。従ってR側の半円よりP側の半円の方が重くなる。従って、徐々にP側が下がりR側が上がって来る。そうすると、ブーメランは上を向き過ぎて失速する。飛行機も上を向き過ぎると失速して墜落することがある。

    失速し下降する ブーメランは回転しており、空気を下に押し下げているので、真下には墜落はせず、失速しても回転しながらゆっくりと来た方に向かって降下する。

     Pが下を向いているので、P→Rは上がる運動となり、R→Pは下がる運動となるので、Q側の半円が重くなる。すると、ブーメランは降下しながら少しずつQ側に傾く。Q側に傾くとR側の半円が重くなる。すると、R側に少しずつ傾きP側が上がって来る。進行方向であるP側が上がると、ブーメランには、また揚力が生じるので遠くまで飛ぶことが出来る。

    左右に掛かる遠心力の差

    空気抵抗

     この動きに、ブーメランが弧を描いて飛ぶ動きを加えれば、ブーメランが戻ってくる動きを表すことが出来る。ブーメランは右手で投げると、時計とは逆の左回転をしながら飛ぶ。

     左のブーメランは、回転方向と進行方向が同じなので、ブーメランに当たる風の速度は、ブーメランの飛行速度+回転速度となる。従って、空気抵抗を強く受ける為、回転速度が遅くなる。

     右のブーメランは回転方向と進行方向が逆なので、ブーメランに当たる風の速度は、ブーメランの飛行速度−回転速度となる。従って、空気抵抗は弱まり、回転速度は速くなる。

    回転速度と遠心力  左半分の回転速度は速い。その為に、左方向への遠心力が強く働く。右半分の回転速度は遅い。その為に、右方向への遠心力は弱い。従って、ブーメランは一回転する毎に、左方向へ少しずつ向きを変えて行く。

    ブーメランの軌跡  この様にして、ブーメランは左へ弧を描きながら飛行する。ブーメランがV字型に曲っているので、進行方向を基準とした右側と左側との遠心力に差が生じるのである。

     もし、ブーメランが定規の様に真っ直ぐであったら、左右の回転速度は同じとなり、遠心力は左右同じなので、進行方向が左に曲ることはない。

    戻って来るブーメラン  回転体の首振運動と左右に掛かる遠心力の差と揚力とにより、ブーメランは遠くまで飛んで手元に戻って来る。この運動をブーメランのCATBIRD運動と呼ぶ(2013/5/3PM23:07)。